【書評】『億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術』は個人投資家が絶対読むべき本

目次

『億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術』について

私は学生時代から投資で億万長者となったウォーレン・バフェット(以降「バフェット」)に憧れていて、バフェット関連の本を良く読んでいました。

 

ただ、大半のバフェット関連の本はバフェットの名言や意思決定シーンを切り出して、バフェットは凄い!を連呼する内容が多くて若干微妙に感じていました。哲学書や自己啓発として読む分にはそれでも良い気はしましたが、正直投資の勉強にはあまり役立たないと思っています。

 

ですが、この『億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術』(以降「本著」)はバフェットの銘柄選びの方法を実際の指標等を読み解きながら具体的に解説していくもので、私が投資の勉強をした中で最も役に立った本となりました。kindle版が無いのが大きな減点ポイントですが、それを踏まえても読む価値のある本だと強く思っています。

 

私は10年くらい前に本著を読んで投資について学び、社会人になって100万円の貯金を貯めてから投資を始めました。そして5年程度で資産を数倍以上に増やすことが出来ましたが、結果として今の投資手法はスイングがメインで本著で解説されている投資手法からは大きく外れています。

 

それは投資をする中で色々な学びや経験があったためですが、「投資を始めて間もないという方」や「長期投資をしてみたいがどういう基準で買えば良いのか分からないという方」にとっては本著は非常に学びの多いものとなることは間違いありませんので、是非読んでいただければと思います。

 

それでは以降の本記事では本著の基本的な内容とそれを踏まえた私の考えについて語っていきたいと思います。

 

 

バフェットの投資手法について

本記事を読んでいる人は既にバフェットの投資手法について知っている人がほとんどだと思いますが、以後の認識を合わせるために念のためここで語りたいと思います。

 

先ずバフェットの投資手法は典型的な「ファンダメンタルズ分析」が基本となっています。「ファンダメンタルズ分析」とは「企業の本質的な価値」について分析する手法であり、PER・PBR・EPS・ROE等の各指標を用いて、今の株価が「企業の本質的な価値」よりも割安か割高かを判断して投資の意思決定を行います。

 

「ファンダメンタルズ分析」で割安と判断された企業は時間が経てば、いずれ企業の本質的な価値で評価される(市場価格が追いつく)ので結果的に投資額よりも大きなリターンが得られるであろうという考え方です。

 

また、「ファンダメンタルズ分析」の中でもバフェットは取り分けて「長期投資」を重視しています。本著ではありませんがバフェットの投資における時間軸は「10年」以上のスパンで考えていることが以下のような発言等でも分かります(他にも色々長期保有の重要性について発言しています)。

 

今後10年間市場が閉鎖しても喜んで持ち続けられる株(企業)だけを買いなさい

ーウォーレン・バフェット

 

上記に加えて、一般的な「ファンダメンタルズ分析」とバフェットの投資手法で最も大きく異なる点はバフェットが「消費者独占型」の企業を重要視している点にあると思われます。

 

バフェットが考える「消費者独占型」の企業とは強いブランド力を持っていたり、他の企業や個人が持続的・日常的に使用せざるを得ない商品やサービスを提供する企業のことを指しています。「消費者独占型」の企業は市場の荒波を乗り切り長期的な発展が期待出来るため、将来性が極めて高いという考えです。

 

ちなみに「消費者独占型」の逆が「コモディティ型」という企業で、ブランド力が無く競争相手が多いために価格競争に巻き込まれて苦しい経営に追い込まれるので避けた方が良いとも明言しています。

 

簡単にまとめると、バフェットの投資手法とは「ファンダメンタルズ分析」や独自の基準を使って、「消費者独占型」の商品やサービスを提供している将来性の高い企業を割安な市場価格で購入し、本質的な価値に値上がりするまで「長期保有(長期投資)」し続けるということになります。

 

このバフェットの考え方を前提として、以降の章から本著の内容である「バフェットの銘柄選択術」について語りたいと思います。

 

バフェットが考える優良企業の条件

本著の中で『第5章 消費者独占型企業を見分ける8つの基準』という章がありますが、私はこの章が本著の最重要個所であると考えています。該当の章では以下の基準を満たす企業をファンダメンタルズも満たした消費者独占型企業の基準であるとしています。

 

■消費者独占型企業を見分ける8つの基準

  1. 消費者独占力を持つと思われる製品・サービスがあるか
  2. 1株当たり利益(EPS)が力強い増加基調にあるか
  3. 多額の負債を抱えていないか
  4. 株主資本利益率(ROE)は十分高いか
  5. 現状を維持するために、内部留保利益の大きな割合を再投資する必要があるか
  6. 内部留保利益を新規事業や自社株買戻しに自由に使えるか
  7. インフレを価格に転嫁できるか
  8. 内部留保利益の再投資による利益が、株価上昇につながっているか

 

消費者独占力を持つと思われる製品・サービスがあるか

最初の基準として挙げているだけでも「消費者独占力」をバフェットが非常に重要視していることが分かると思いますが、これに関しては具体的な指標が無いのであくまで個々の独自判断となってしまう基準です。

 

バフェットは本著の中で以下のような方法で「消費者独占力」を持つ製品・サービスを探すと良いとしています。

 

コンビニやスーパー、ドラッグストア、バー、ガソリンスタンド、書店など、どこでもいいから店の前に立って、その店を続けていく上で絶対に取り扱わなければやっていけないブランド品は何だろうかと考えてみるといい。言いかえれば、それを店に置いていなければ店長の常識が疑われるような商品は何だろう、と自問するのである。それを書き出してみてほしい。

 

そうやって探した結果が、コカ・コーラ等の圧倒的なブランド力という「消費者独占力」を持った製品を扱っている企業ということです。日本でも同じような方法で探せばきっと誰でも一つ以上は「消費者独占力」を持った企業は思い付くのではないでしょうか。

 

ちなみにこの「消費者独占力」については本著の第6章で更に詳細に解説が有りますので、興味がある人は本を買って読んでみてください。

 

1株当たり利益(EPS)が力強い増加基調にあるか

たとえ「消費者独占力」のある製品・サービスを提供している企業でも、会社全体の経営に問題があった場合は将来性に懸念が出てきます。そのためバフェットはEPS(1株あたり純利益)の実績値が増加基調にあるかどうかで経営の問題有無を察知することとしています。

 

■EPSの算出方法

EPS(1株あたり純利益) = 当期純利益 ÷ 発行済み株式数

 

本著では以下のような例でどちらの企業が投資対象として注目すべきかを述べています。

 

■A社とB社のEPS推移表

A社 B社
1990 1.07ドル -1.57ドル(赤字)
1991 1.16ドル 0.06ドル
1992 1.28ドル 0.28ドル
1993 1.42ドル 0.42ドル
1994 1.64ドル -0.23ドル(赤字)
1995 1.60ドル 0.60ドル
1996 1.90ドル -1.90ドル(赤字)
1997 2.39ドル 2.39ドル
1998 2.43ドル -1.25ドル(赤字)

 

ここまで分かり易い状況はそうそう無いとは思いますが、バフェットの言いたいことは伝わるのではないかと思います。つまり、EPSを10年分程度を並べてみた時にA社のような右肩上がりの傾向が有るかどうかを見極めるべきというものです。

 

当然、リーマンショック等のように相場全体が低迷する場合や業界全体が何らかの理由で落ち込む場合もありますが、それでも「消費者独占力」を持った企業であるならば再びEPSは力強く成長していくはずというものですね。

 

ただ、EPSが大きく落ち込んだ場合はそれが一時的な問題なのか、それとも将来の下降トレンドを示す兆しなのか、さらには解決できる問題なのかどうかは良く見極める必要が有るとも述べています。

 

ちなみにEPSに関しては本著の中で予想EPS(10年間の平均EPS成長率)を用いて10年後の予想株価を算出することで、期待収益率を導くことも可能だとしています。その具体的な計算方法や使い方に関しては本著でご確認ください。

 

多額の負債を抱えていないか

「消費者独占力」のある企業は事業が生み出すキャッシュフローがあるため、長期負債を調達する必要性は無いはずであるというのがバフェットの主張です。

 

本著の中ではコカ・コーラ社の長期負債残高が同社の1年間の利益よりも少ないということを語っています。また同じくガネット社についても税引き後利益が9億9,000万ドルで長期負債残高が10億ドル程度のため、ほぼ1年分の利益で返済できる程度で「消費者独占力」のある企業は長期負債が少ない特徴があるとしています。

 

ジレット社については利益が12億ドルで、長期負債残高が24億ドルのため2年分の利益で返済出来るため負債は少ないという語り方となっており、後の記載を見るにバフェットの中では長期負債残高が税引き後利益の3年分以内の範疇にあるかが、「多額の負債を抱えていないか」の答えになっていると想像できます。

 

ここで一例を挙げてみたいと思います。以下が日本の大企業であるトヨタ社の2018年3月期決算書ですが、「長期借入債務」の数字と「当期純利益」の数字を見て下さい。

 

 

■トヨタ社の決算書(2018年3月期)

https://www.toyota.co.jp/pages/contents/jpn/investors/financial_results/2018/year_end/yousi.pdf

 

見て分かる通り、「長期借入債務」が10,006,374百万円で「当期純利益」が2,493,983百万円となっており、「長期借入債務」が「当期純利益」の4倍を超えていることが分かります。

 

バフェットの主張を考慮するのであれば、トヨタ社は多額の負債を抱えているため「消費者独占力」のある企業ではないということになるでしょう。ただ、実際問題としてトヨタ社の規模であれば事業に致命的な問題になる額ではないでしょうし、あくまでバフェットが買い向かう企業ではないというだけですね。

 

それに負債の多さで有名なソフトバンク等も業績や株価は割と右肩上がりだったりするので、長期負債が多いから問題のある企業と断ずるのは一概に言えないとは思っています。

 

ですが、少なくともバフェットの主張するように長期負債を1年分の利益で相殺できる程の企業であれば将来性は高いと判断しても良いという考え方は分かりますね。

 

株主資本利益率(ROE)は十分高いか

ROEはバフェットだけでなく海外の投資家は非常に重要視している指標です。計算方法は以下の通りです。

 

■ROEの算出方法

ROE(自己資本利益率) = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100 (%)

 

バフェットが調査した時のアメリカ企業の平均ROEは約12%であったことから、優良企業と判断すべき企業のROEは最低でも15%以上で高ければ高いほど良い企業であると述べています。

 

実際にバフェットが買っていた銘柄のROEはコカ・コーラ社が33%、ハーシー・フーズ社は16.7%、ディズニー社は18%、サービス・マスター社は40%、UST社は30%強、ガネット社は27%、マクドナルド社は18%となっており、いずれの会社もROEは15%を超える水準であったとしています。

 

先ほどの負債の時にも使ったトヨタ社の決算を調べたところ、ROEは13.7%となっていました。つまりこの基準で考えてもトヨタ社はROEの15%に満たないためにバフェットが考える「消費者独占力」を持った企業とみなされないことが分かりますね。

 

■トヨタ社の主な財務指標(連結)

https://www.toyota.co.jp/jpn/investors/financial/financial_data.html

 

ちなみに日本企業の平均ROEは2018年に初めて10%を超えるというニュースが有りました。そう考えるとバフェットの言う15%というのは日本だと少し難しいかもしれません。

 

現状を維持するために、内部留保利益の大きな割合を再投資する必要があるか

企業は基本的には毎年利益を挙げて一部を配当として還元するが、例えばROEが12%で配当に8%分を払い出したと仮定すれば、4%分は企業側に内部留保として蓄積されることとなる。これが毎年繰り返されると、配当とは別に年間4%ずつ企業価値が向上していく・・・という考え方が有ります。

 

ですがバフェットはその考え方には問題があるとしており、現実の企業の多くは内部留保を設備等の現状維持に使っており、内部留保が株主価値の増加には結びつかないと警告しています。

 

この基準も明確な指標が無くて何とも言い辛いのですが、例えば先に挙げたトヨタ社等の自動車業界は大規模な工場や設備を維持運営しており、内部留保も翌年には設備投資へと多くを振り向ける必要が有ります。

 

加えて自動車業界は競争も激しいため、新製品(新車)の開発も常に必要とされており、研究開発コストへも内部留保を振り分ける必要が有ります。こういったメイン事業をただ運営するだけにも多大な費用を必要とする企業をバフェットは好みません。

 

バフェットが優良企業としているのは設備の維持や研究開発をほぼ必要としない企業です。本著で取り上げられているのは「町でたった一つの新聞」「キャンデーやチューイングガムのメーカー」「ヒゲソリ刃のメーカー」「ソーダやビールメーカー」等です。

 

こういった理由からバフェットは10年以上に渡って同じ製品を延々と作り続けているローテク企業を好んでいます。圧倒的なブランド力で同じ製品を作り続けている企業は設備の維持も研究開発も大きなコストを必要としないからです。

 

ただ、バフェットはこの考えを持っていたために業績が不安定で常に研究開発を必須としているIT企業への投資について理解を示せずに、結果的にIT企業が米国で大躍進する中でほとんど恩恵を受けることが出来なかったのも事実です

 

そのバフェットも今では大量のアップル株を持っていたりするので、かつての考え方から大きな心境の変化が有ったのは間違いないでしょう。この基準がその結果だけを見て無意味なものと断ずるべきものでは無いと私は思っていますが。

 

内部留保利益を新規事業や自社株買戻しに自由に使えるか

この基準は一つ前の基準と近く、そして詳細に語るのが難しい基準です。

 

バフェットの言いたいこととしては、内部留保として蓄積した利益を翌年の事業投資に回して平均を上回る収益を出しているか、それか内部留保を自社株買戻しに積極活用している企業が優良企業であるというものです。

 

厳密な定義は出しづらいですが、この基準を活用するのであれば企業の年間のIRから内部留保の振り向け先を将来に調べる必要が有るでしょう。割と大事な基準ですが購入したい銘柄を決めた後で最終チェックに回す等の方が基準として扱いやすいのではないかと思います。

 

まぁ、実際に自社株買いをした場合は、「発行済み株式数」も「自己資本」も減るので、先の基準であったEPSやROEの増加に結び付くため、そちらの基準さえ満たしているのであればこちらは実はそんなにという気はしています・・・。

 

もう少し付け加えると、自社株買いに関してはバフェットの言う消費者独占型の企業の場合この基準はとても重要だと思いますが、逆にハイテク産業や成長著しい業界等では少し危険だと思っています。

 

何故かと言うと自社株買いに利益を回すというのは言い換えれば、その利益を事業に投資しても成長の余地が少ないと企業が判断しているとも言えます。同じ意味で配当を過剰に出している企業も自ら成長の余地が無いと宣言しているようなものなので私個人としては若干微妙な企業という認識ですね。

 

インフレを価格に転嫁できるか

これは1番目の基準に近いかもしれませんが、物価がインフレした時に「消費者独占力」のある製品・サービスを提供している企業は製品・サービスの価格をインフレ分吊り上げることが出来る。言い換えれば価格を釣り上げたとしても顧客が離れないような企業であるということです。

 

アメリカのインフレ率は年間2%前後となることが多いので、同じ利益水準を保つためには数年単位で製品・サービスもそれなりの値上げが必要となるということです。そうしなければ物価上昇による原価の増大によって経営が苦しくなるためです。

 

日本はインフレ率もマイナス成長が多かったり、1%にも満たないプラス成長であったりすることが多いので、この基準が同じように重要となるかは微妙なところですが、日本で一番目に付く値上げは缶ジュース等ですかね?

 

インフレではないですが、缶ジュース等は消費税が上がる度に便乗して値上げしているので、日本コカ・コーラ社を始めとする各飲料メーカーは値上げしても需要が減ることは無いと考えているのだと予想できますね。

 

この基準も厳密な定義は難しいですけど、最初の基準で「消費者独占力」のある製品・サービスを提供していると認識している企業は基本的には当てはまるのではないでしょうか。

 

内部留保利益の再投資による利益が、株価上昇につながっているか

他の基準でもあったEPSが増加しているかというのとほぼ同じ感じの基準ですが、こっちは毎年出している利益を出していてもそれが実際の株価の向上につながっているのか?という確認ですね。

 

本著ではバフェットの経営するバークシャー・ハサウェイ社とGM(ゼネラルモーターズ)社を比べてどちらが1株当たり株主持分と株価の向上に結びついているかを解説しています。

 

バークシャー・ハサウェイ社は1983年から17年間の間に1株当たり株主持分は3,900%、株価は4,900%上昇したのに対して、GM社は同じ期間の間で1株当たり株主持分は11%、株価は106%の上昇しかしていないとのことです。

 

この比較を持って毎年利益を増加させていても、それが10年程度の期間で見た場合の株価に反映(右肩上がりの傾向が有るか)されているかを重視しています。例え経営が一見うまくいっているように見えても内部留保が株価の向上に繋がらないのであれば、現状維持等にコストが大きく割かれるような事業であるということかと思います。

 

バフェットの考える優良企業の定義まとめ

上の章まででバフェットの優良企業を見つけるための銘柄選択方法について本著の記載を簡単に抜き出しましたが、それぞれの基準を明文化すると以下のまとめとなるでしょうか。

 

  1. 消費者独占力を持つと思われる製品・サービスを持っている
  2. 1株当たり利益(EPS)が10年単位で並べた場合に右肩上がりの傾向となっている
  3. 長期負債残高が純利益の3年分以内の範疇にある
  4. 株主資本利益率(ROE)が15%以上の水準となっている
  5. 設備の維持や研究開発に大きなコストを必要としない事業を持っている
  6. 内部留保利益を新規事業や自社株買戻しに活用している
  7. 物価がインフレしても主力製品・サービスの値上げで対応出来る
  8. 利益の増加に比例して株価が右肩上がりの傾向となっている

 

これが本著の『第5章 消費者独占型企業を見分ける8つの基準』で語られているバフェットが「優良企業」を選ぶ時の8つの基準です。

 

『第5章 消費者独占型企業を見分ける8つの基準』以降では基準を更に詳細に解説していたり、割安な購入タイミングを狙うことを説いたりしていますが、銘柄を選択したうえで更に心がけるべきことなので、そういった買い方に関する部分は個々で判断すれば良いのではないかと思っています。

 

本著は名言集等と違ってバフェットが「実際にどういう判断基準を持って銘柄を選択したか」というのが学べる数少ない書籍ですので、非常に勉強となると思います。

 

 

バフェットの銘柄選択術は正しいか

本著の内容を踏まえてバフェットが実際にどのような判断基準を持って銘柄を選択しているかについて記事にしましたが、実際この通りの投資手法を完全に真似たとしても大きく儲けることが出来るとは言えません。

 

バフェットについては世界で最も「投資」で儲けた人なのは間違いないので一人の投資家としては尊敬もしていますし、その思慮の深さも素晴らしいものであるとは思っていますが、やはりバフェットが大きく利益を上げられたのは時代に依るところも大きかったのではないかと考えています。

 

NYダウのチャートを見れば分かりますがバフェットが投資家として積極的に活動を始めた1950年代のNYダウは300ドル前後でした。2018年現在のNYダウは2万5000ドル前後で大体10年に一度くらいは暴落しますが、それを含めてもほぼ右肩上がりの状態でした。

 

そのため、仮にバフェットがもっと曖昧な基準で投資していたとしても、長期投資の方針を取っている限りは大きく資産を増やせていた可能性は高いです。勿論当時のバフェット以外も同じ状況だったのにも関わらず、バフェットが一番儲けている時点でバフェットの理論が正しいことは保証されていると思いますが。

 

ですが対照的に日経平均株価に関しては1990年のバブル期に3万8000円台の高値を付けた以降は30年近く経った今でも当時の株価には全く届きません。もしバフェットが1990年代に日本で投資家デビューしていた場合、バフェットの長期投資の手法で同じように資産を大きく増やせたとは正直どう考えても有り得ないと思います

 

実際に試し用の無い話しなのでこれ以上語っても意味は有りませんね。取り合えず私が言いたいこととしては、バフェットの銘柄選択方法はアメリカの1950年代から最近までの時代に関しては間違いなく最も正しい投資手法だったと思いますが、それ以外の時代や状況では必ずしも正しい手法とは言えないだろうということです。

 

最後に

書評と言いながら本の批評よりも本著の内容とその要約のようなまとめ記事となってしまい、記事にした自分でもこれでいいのかという気持ちがあります。。。

 

まぁ、本著を通してのバフェットの銘柄選択における意思決定方法を読み取る!みたいなタイトルの方が良かったのかと思いつつも、本著には銘柄選択方法以外の考慮すべき点等も色々記載が有りますので、そういったことも併せて学びたい人は本著を購入して自分で勉強される方がよろしいかと思います。

 

最後辺りにも書いてありますが、バフェットの銘柄選択方法がいついかなる状況でも絶対に正しいというのは少なくとも私は全く思っていません。あくまで一つの国の一つの時代においては間違いなく正しかったということが分かっているだけです。

 

ですが、それを踏まえたとしても本著で語られている内容は株式投資における一つの真理に近いものであるとも思っていますので、今後株式投資でもっと成功したいという個人投資家の方は読んでおいて絶対に損することは無いであろうと私は感じている一冊です。

 

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