【前編】ベトナム株に投資(購入)しても大丈夫なのか?今後伸びる産業は?

ベトナム株は安全か色々調べてみる

前回の記事ではSBI証券で取り扱っている外国株の各データを分析して、一番魅力的な市場はベトナム株であることを解説しました。

 

日本株と外国株はどちらが投資対象として魅力的か(ベトナム株に注目)

 

そこで今回の記事ではベトナムという国について更に深掘りして、本当に投資(購入)しても大丈夫なのか?といった疑問や特にどういった業種が今後ベトナム内で伸びていきそうなのか?という要望について要点を絞って解説していきたいと思います。

 

尚、本記事では以下引用元(三菱UFJリサーチ&コンサルティング様の調査レポート)に基づいて解説していきますので、ご承知おきください。

 

引用元:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(2018年3月16日開示の調査レポート)

http://www.murc.jp/thinktank/economy/analysis/research/report_180316.pdf

 

ベトナムの基本情報

先ずはベトナムという国について、前回の記事で取り上げた情報に更に一部データを追加した内容を以下にまとめました。

 

■ベトナムの基本情報(2017年)

国名 ベトナム社会主義共和国
政体 社会主義共和制(中国に近い共産党一党独裁政)
通貨 ドン(VND)
人口 9300万人(世界14位の人口の多さ)
面積 331.200km2(日本より少し小さい)
名目GDP 24兆円
経済成長率 6.8%
株式市場規模 12.7兆円
SBI取扱銘柄数 332銘柄

 

上記の表がベトナムの基本情報となりますが、特筆すべき点はやはり『社会主義共和制』の国家であるという点でしょう。それ以外にも既に人口ボーナス期に突入し、10年後には1億人を超えると予測されている人口の多さと前回の記事でも触れた高い経済成長率が市場として魅力的です。次の章から個別の情報について深掘りしていきます。

 

ベトナムの政治・経済状況

前章でも述べた通り、ベトナムは共産党一党独裁による『社会主義共和制』の国家です。現在(2018年6月)世界に社会主義国家は中国、ベトナム、ラオス、北朝鮮、キューバの5ヶ国のみとされていますので、珍しい政治体制と言えますね。

 

ベトナムは社会主義国家ですが中国同様に市場経済を導入しており、アジアでも屈指の経済成長率を誇る国です。ベトナムの経済を語るうえで非常に重要な言葉として『ドイモイ(刷新)』という政策があります。

 

また、近年においては中国の人件費が高騰してきた背景を受け、日本企業を中心として人件費の安いベトナムへの進出が増えてきています。ベトナム内で製造した各種商品の海外輸出も増加しており、貿易収支も黒字となっています。

 

それ以外にも政治・経済については特徴のある国ですので、それぞれの要素について確認していきたいと思います。

 

ドイモイ(刷新)政策とは

昔のベトナムは社会主義国家特有の「貧しさを分かち合う社会主義」という思想の元で国家運営が行われていましたが、カンボジアとの戦争を経て経済状況がドンドン悪くなってくると次第に国民の反発が強まり、既存の国家運営が苦しくなっていきました。

 

そこで危機感を覚えた共産党指導部が『ドイモイ(刷新)』という今までの国家運営とは根本的に異なる政策を打ち出し、対外経済の開放・経済自由化などを導入することで、ベトナム経済の大きな転換期となりました。

 

このドイモイ政策は成功したと言えるでしょう。政策以降のベトナムは非常に高い経済成長率を維持しており、アジア通貨危機やリーマンショック等で一時的に成長が鈍化することもありましたが、それらを乗り越え一度もマイナス成長とはならずに高成長を続けています

 

※引用レポート3ページ目の記載を抜粋

 

ベトナム経済における成長産業

ベトナムがドイモイ政策以降は高い経済成長を続けていると説明しましたが、具体的にどの産業が成長しているのかは以下画像を参照ください。

 

※引用レポート4ページ目の記載を抜粋

 

上記画像の通り、ここ数年のベトナム内で大きく成長している産業は『工業』と『サービス』です。工業のサブセクター別成長率の方を見ると、『製造業』が近年大きく成長し始めており、『電気ガス』や『建設』は高い成長率を維持しているものの、近年は若干成長が鈍化気味に見えます。

 

逆に成長の伸びがあまり良くない産業は『農業』です。また、工業のサブセクター別では『鉱業』の成長が非常に悪化しているようです。

 

インフレ状況について

新興国ではインフレが一気に進み過ぎて経済に甚大な影響を及ぼしている国もありますが、ベトナムは2007年~2012年に発生した投資バブルによって一時的に大きくインフレしたものの、近年ではインフレ率も5%以下で推移しており、政策金利も安定した状態となっています。

 

※引用レポート6ページ目の記載を抜粋

 

現状は一気にインフレが進むような予兆等も見えませんので、今後も暫くは安定した状態が続くのではないかと考えられます。

 

為替相場について

前回の記事では為替リスクが外国株への投資難度を引き上げている要因として解説しました。では実際にベトナムの法定通貨ドン(VND)は今後暴落するリスクがどの程度有り得るのか見ていきたいと思います。

 

※引用レポート8ページ目の記載を抜粋

 

上の画像がドンとドルの為替推移ですが、見て分かる通り長期的なドン安が続いている状態です。仮にこのトレンドが続けば、株で大儲けしたとしても実際に円に換金してみると儲けが無くなるような状況があり得ると思います。

 

ですが、引用レポートにも記載されていますが外貨の統制やベトナムの貿易収支黒字化等の背景を受け、徐々にドン安の下落ピッチは鈍化しています。そのため今後ドン安が大きく進行する可能性はあまり高くないのではないかと考えます。

 

仮にドン安が進んでも近年の動きであれば3年で10%~20%程度と思われるので、許容範囲(株の投資利益の方が大きくなる可能性が高い)かなとは思います。むしろ為替については、日本の方が金融異次元緩和により円安方向に誘導している背景が有りますので、対円であればドン高となる可能性も十分あり得ます。

 

地政学リスクについて

地政学リスクとして頻繁に挙げられる2大要因の「地域紛争の勃発」と「テロの脅威」についてですが、ベトナムはカンボジアとの戦争終結後に国際社会への復帰を果たしましたが、それ以降で地域紛争やテロといったものは発生していません。あまり情報が出てないだけで隣国と小競り合い程度はあるかもしれませんが。

 

ただし、近隣諸国(タイ、フィリピン等)ではテロ等の事件が起きていますので、今後も必ず安全という保証はありません。それでも調べた限りではベトナムは殺人・凶悪犯罪も少ないので、現状の治安は良好のようです(地政学リスクが比較的小さい)。

 

ASEAN加盟国

ベトナムはASEAN(東南アジア諸国連合)に加盟しているのも特徴です。

 

外務省の発表している統計資料(2016年時点)によると、ASEANはEU(欧州連合)と比べてGDPは6分の1以下となっていますが、経済圏内の人口については既にEUを2割以上超えています。今後ベトナム以外の東南アジア各国も大きく経済発展していくと考えていますので、ASEANの経済圏に参加していることがベトナムの将来の大きな強みになると考えます。

 

引用元:ASEAN経済統計基礎資料(外務省 アジア大洋州局 地域政策課) 2ページ目抜粋

https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000127169.pdf

 

ただ、EUを見てると一国の政治混乱がその他の国に波及していたりするので、今後ASEANも同じような足の引っ張り合いにならないかが不安ですね。EUと違って通貨の統一もしていないし、繋がりも薄いのでそういったリスクは少ない方だとは思いますが・・・。

 

TPP参加国

ベトナムはTPP(環太平洋パートナーシップ協定)への参加を表明している国の一つです。TPPは米国の離脱で話題になりましたが、米国抜きの11ヶ国で2018年3月に正式合意し、2019年から正式に協定が発効される見通しとなっています。

 

米国の離脱前まではTPP参加国の中で最も恩恵を受けるのはベトナムと言われていました。理由はベトナムの貿易黒字の大部分を担っているのは米国との貿易だからです。TPPへの参加によって米国輸出品の関税が撤廃されることで、大きな利益が出ると予想されていました。

 

逆に輸入の大部分を占めている中国・韓国はTPP参加していないので、そちらとの貿易で損失が発生することもありませんでした。

 

引用元:世界貿易投資報告 2017年 ベトナム(ジェトロ・アジア経済研究所様)

https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/gtir/2017/11.pdf

 

米国離脱によってベトナムの恩恵が多く減ったことに加えて、米国は最近独自の関税を強める傾向にあり、それらがベトナムの経済にどの程度影響与えるかは分かりませんが、少なくともプラスの影響は少ないのではないかと考えます。

 

とは言え、TPPもASEAN同様に経済圏としては巨大なものですので、そのような中に入っているのは将来的にはメリットとなる可能性も十分にあるとは思います。

 

ベトナムの政治・経済状況まとめ

上記までの各種情報を調査しながら解説した内容をまとめます。他にも要素を挙げれば色々あるのですが、株式投資すべきかを判断する基準となるための情報として絞って挙げています。

 

【好印象】

  • 社会主義共和制の国家だがドイモイ政策によって対外経済の開放・経済自由化が導入されている
  • ドイモイ政策以降は世界的な金融危機の中でも大きな経済成長を続けている
  • 人口は9300万を超え、人口ボーナス期に突入している
  • 貿易収支が黒字化している
  • 『工業』と『サービス』の産業が伸びている、工業の中では『製造業』の伸びが顕著
  • インフレと政策金利は安定しており、急激な変化の予兆も無い
  • ASEANの経済圏が今後も拡大するならベトナム経済にも恩恵がある
  • 地政学リスクが小さい

 

【悪印象】

  • 『農業』の産業は伸びが悪い。工業の中では『鉱業』の伸びが非常に悪い。
  • 長期的なドン安トレンド、ただ最近は鈍化して来ているので許容範囲内には見える
  • 最大輸出国である米国の関税強化で経済にどの程度悪影響があるか未知数

 

投資家としての視点で見た場合、政治・経済面では新興国の中では不安要素が少なく、かつ期待できる要素が圧倒的に多いという印象です。勿論絶対大丈夫と保証するのは不可能ですので、本情報を持って株式投資すべきか否かは自己判断でお願いいたします。

 

株式投資する場合は産業として近年特に伸びている『製造業』を中心とした『工業』と『サービス』の銘柄が最もパフォーマンスが高くなるのではなかろうかと思います。逆に『農業』や『工業』の中でも『鉱業』に関連する銘柄には投資を避けた方が無難でしょう(中には例外的な銘柄も出てくるでしょうが)。

 

本当ならばこのままベトナムの財政状況を解説し財政破綻リスクがどの程度有り得るのか、ベトナム政府の出している成長戦略を解説して実際に伸びている産業とは別に注目すべき産業が有るかどうか、ベトナムの株式市場がどのような構造となっているのか等を続けて解説する予定でしたが、想像以上の文字数となりそうなので一旦前編としてここまでで区切ります。

 

今度は中編か後編として上記内容を記事にする予定ですので興味があれば閲覧下さい。それらを解説した後に今後の成長が特に期待できるであろう個別銘柄の紹介記事を書きたいと思います。それでは今回は記事を閲覧いただきありがとうございました。

 

【2018/6/17追記】

本記事の続きとなる中編を公開しました(下の記事)。興味があれば閲覧下さい。

【中編】ベトナム株に投資(購入)しても大丈夫なのか?今後伸びる産業は?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA